FC2ブログ
2008/04/27

十日目③:レッジーナ×ミラン 試合中の風景

この試合のレポはこちらを参照のこと。ここではゲーム展開以外の細かいネタを中心に拾っていきますので。
『セリエA第38節レッジーナ×ミラン 奇跡を起こしたレッジーナ』

両チームの選手紹介が始まった。GKカンパニョーロからレッジーナの選手の名前がアナウンスされる度に大きな拍手。それがアタッカンテの二人になるとひときわ大きな歓声に変わる。やっぱりこの二人の人気は別格だわ。ビアンキ18ゴール、アモルーゾ16ゴール(この試合で17ゴール達成)とビッグクラブの2トップ並に点を取ったんだから当然だよね。
驚いたのがミランの選手紹介でピルロの名前と共に大歓声が起こったこと。隣のオヤジが「ピルロは元レッジーナなんだ!」と誇らしげに教えてくれた。はいはい、そんなこと教えられなくても知ってるよ。(笑)
ミランは予想通りメンバーをかなり落としてきた。これは行ける。いや、行くしかない!

選手入場と共に観客全員が立ち上がり、全座席の上に置かれてあった赤いビニールシートを胸の前に掲げる。スタジアムが一面アマラント色になって壮観だ。風が強くて両手でしっかりとシートを掴んでいないといけなかったので、この時の写真を撮れなくて本当に残念。とっても感動的な眺めだったのに。
レッジーナのキャプテンは出場停止のルカレッリに代わりメスト君。ミランのキャプテンはピルロだったと記憶している。

これピルロだよね?

キックオフ直前の緊張の瞬間。センターサークル奥から順にヴィジャーニ、ガッツィ、テデスコ、アモルーゾ、モデスト、ビアンキ。

気持ちが高ぶりすぎて試合中の写真はほとんどピンボケでした

キックオフからティフォージの応援は既にマックス。それに応えてアモルーゾが何と前半8分にいきなりゴールした。しかもトラップしたハイボールを反転しながらボレーで叩き込むアクロバティックなゴールだ。周囲のオヤジたちは奇声を上げながら狂喜乱舞。私も一緒に飛び跳ねる。クルヴァのウルトラスから始まったセリエアー!セリエアー!セリエアー!の大迫力の合唱がスタジアム全体に広がっていく。
その後はアモルーゾがキープしたり、効果的なパスを出したりするだけでオヤジたちは手を叩いて大喜び。アモルーゾもノリノリで虎視眈々と2つめのゴールを狙う。私がエンポリ戦とこの試合で見たアモルーゾのボールのないところでの動きからシュートに持ち込むまでのパターンは以下の通り。スタジアムだとテレビには映らないこういうシーンが見られるから面白い。
① ペナルティエリアから離れた場所で「僕はゴールに関わる気はありませんよ~」という感じでしれーっとしている。腰に手を当ててボーっとしていたり、ゴールに背を向けてふらふら歩いていたり。相手DFはこれに騙される。
② いつの間にかスルスルとエリアに近づいていくが、動きが緩慢なので相手DFもそこまでタイトなマークをしない。みんなゴール前にいるビアンキにばかり注意が向かう。
③ 味方がラストパスを出した瞬間にパスの到達地点を予測して一気にそこに飛び込む。この時の瞬発力が半端じゃない。アッと思った時には相手DFは完全に置いていかれている。

いつも必ずこのパターンじゃないけど、こういうのをこの2試合で何度も見た。ゴールの嗅覚が鋭いってこういうのを言うんだろうなあ。これを書いている2008年4月26日現在、アモルーゾは嫌々1トップをやっている。最初からDFを背負ってゴール前に張っていなくちゃいけない役割だと彼の良さは発揮できないのかもしれない。昨季の彼のプレースタイルを思い出しながらそう思う私であった。

ハーフタイムにトイレに行って戻ってくると、通路で手すりに噛り付いて選手の再入場を待っているチビッ子二人が目に入った。一人はレッジーナユニ、もう一人はなんと20番ヤロシクのユニを着ているぞ!これってヤロシクがチェルシーの前に所属していたCSKAモスクワのユニなんだろうか?

なぜレッジョにヤロシク?!

「それどこのユニだよ?ヤロシクって誰?」
「今セルティックでナカと一緒にプレーしているヤロシクを知らないのかよ!」
「だから何でそいつのユニなんだよ?おまえ、赤いユニだったら何でもいいと思ってんな?」
「同じアマラント色だからいいじゃん!」

チビッ子二人の間で実際に上記の会話が交わされたかどうかは定かではない。

両チームの選手が出てきて、それぞれの位置についていく。その時、思いがけない光景を目撃して、嬉しくて嬉しくて思わず声を上げそうになった。
アモルーゾとビアンキが話してる!仲直りしたんだ!
しかし帰国してから録画で確認したら、どう見てもアモルーゾがブチ切れてビアンキを怒っている画だった。「いつまでそんな態度を取っているんだ!いい加減にしろ!」と、ようやく言えたんだろうか。遅いよ。もっと早く切れても良かったのに。我慢強すぎるよアモルーゾ。まあ、どんな形であれ、二人が言葉を交わしたことが重要だ。

後半開始早々、アモルーゾがカフーに削られて大ブーイング。周りのオヤジたちも「俺たちのニックになにすんねん!」と怒りまくっている。←なぜ関西弁
後半11分にアモルーゾがファヴァッリに後ろからタックルされた時は、耳が痛くなる程の大音量の罵声がファヴァッリに浴びせられた。誰も日本語が分からないのをいい事に、私もお嫁に行けないような言葉を連発する。何を叫んだかは当然書けない。(笑)

このタックルで再び怪我をしてしまったにも関わらず、このあとカウンターから長い距離を走って強烈なミドルを放ったアモルーゾには割れんばかりの拍手が送られる。凄いよ。格好良すぎるよアモルーゾ。
そして後半22分にアメリーニと交代になった時はスタジアム総立ち。

E se tira Amoruso e se tira Amoruso è gooooooooool!!!
 ♪~もしアモルーゾがシュートすれば、
      もしアモルーゾがシュートすれば、
         それはゴールになる!!!~♪


ファンの大合唱に嬉しそうに両手を挙げて応えるアモルーゾ。右隣の親父は「グランデ・ニーック!!!」と3回くらい繰り返し叫んでいた。
ここまでザ・アモルーゾ・ショーな内容だったので、アモルーゾが下がったら少しテンション下がるかと思いきや、交代で入ったアメリーニがいきなりファーストタッチで豪快なゴールを決めた。オレステ・グラニッロに再び地鳴りのような歓声が沸きあがる。

よっしゃー!タコ社長、よくやったー!!!

いいぞ、いいぞー!ミラクル達成は目前だ!
直後にミランがピルロ→ガットゥーゾの交代。すると再び異様な盛り上がりを見せるちょっと不思議なオレステ・グラニッロ。

ピルロ!ピルロ!ピルロ!ピルロ!

ピルロの姿が見えなくなるまでスタジアム全体からピルロの名前が連呼される。いや~、レッジョの民のアモルーゾ愛も相当だけど、ピルロ愛も負けないくらい凄まじい。ピルロはむちゃくちゃ嬉しかっただろうなあ。

もうこの後は勝利を確信してスタジアムはウェーブの嵐。いったい何周するんだよ!試合観ようぜ!と突っ込みたくなるくらい何度もウェーブが周ってくる。その度に周りのオヤジたちが子どもみたいに飛び上がるのが微笑ましい。
試合終了5分前にはビアンキ→ニールセン君の交代で、再びスタジアムはスタンディング・オベーション。ゴール出来なかったけど、間違いなく残留を果たせそうなので、ビアンキも満面の笑みで声援に応える。

そして試合終了のホイッスル。その瞬間スタジアムが歓喜の大爆発。歓声というか悲鳴といういうか、全員がめいめいに雄叫びを上げながらハイタッチしたり抱き合ったり物凄い事になっている。選手もマッツァーリ監督もフォーティ会長もスタッフもみんな次々とピッチに躍り出てくる。

セリエアー!セリエアー!セリエアー!

スタジアム全体が一つになって拳を突き上げて叫びまくる。

セリエアー!セリエアー!セリエアー!

涙が一筋頬を伝う。この瞬間に立ち会えて本当に良かった。奇跡の証人になれて本当に良かった。一生忘れないよ。ありがとうレッジーナ。
南イタリア遠征記2007 | Comments(0) | Trackback(0)
2008/04/19

十日目②:スタジアムまでの道のりと試合前の風景

2日前に新聞スタンドでゲットした残留記念Tシャツを着て徒歩でスタジアムへ向かう。
どんなTシャツかというとコレ。モデルはおちゃらけたモデスト@残留祝賀パーティ。雄叫びを上げているのはジョーザ。

ヤス君の分も買ってあげればよかった

胸の文字を訳すと「レッジョの歴史に残る伝説のA残留」って感じ? 背中には「ありがとう選手たち!」の文字と共に選手全員の名前がプリントされている。残留が決まる前からこういうのを売り出しちゃうところがレッジョである。残留できなかったらどうしようなんてことは考えない。ここまできたら信じるのみ。私も信じているから今から着ちゃうもんね。
前から歩いてきた5人家族が私を見て大笑い。お母さんが私の残留Tシャツを引っ張って「まあまあ!なんて気の早いジャポネーゼなの!」みたいなことを言っている。でもウヒャウヒャ笑いながらも最後は「スタジアムへ行くの?フォルツァ・レッジーナ!」と家族全員で手を振ってくれた。

中央駅の周囲には列車で応援に駆けつけたサポがうようよしていた。また、車で駆けつけたファンが駅前ロータリーのあちこちに路駐して、車の中や外でレッジーナユニに着替えている。大きな旗や横断幕を車から運び出している人たちもいた。誰もが残留記念Tシャツを着ている私を見ると笑顔で“Forza Reggina!!!”と親指を立ててくる。すごく楽しい♪

スタジアムへの道中、どこのバールも試合前の高揚感を持て余している人たちで賑わっていた。わかるよ。一人じゃいられないもん。今のこの何にも手につかない状況を誰かと一緒に分かち合っていないと気が変になりそうだもん。
そんな大勢のサポで込み合うあるバールの前を通りかかった時、一人の男性が私を指して大声でジャポネーゼがどうとかこうとか叫んだ。で、数人のむさ苦しい野郎共に強引に店内に引きずり込まれる私。熱気溢れる店内は「チャオ!ナカムーラ!」の大合唱。そして私がわざわざ日本からレッジーナの応援に来たことを知ると今度は「グラッチェ!ナカムーラ!」の大合唱。いつまで経ってもレッジョの民にとって日本人は皆ナカムーラなんだね。(笑)
いや、これって間違いじゃない。俊輔がいなかったら私はレッジーナのファンになることはなかった。俊輔が私をここに導いたわけだから、「グラッチェ、ナカムーラ」は正しいのだ。そしてレッジョで私が人々から親切にしてもらえるのも、この地でストイックにサッカーに打ち込み「日本人は真面目で尊敬に値する」という評価を定着させた俊輔のお陰。だから私もお礼を言わなくちゃ。グラッチェ、ナカムーラ。私のレッジョ遠征をいつもこんなに楽しいものにしてくれて本当にありがとう。

誰が振舞ってくれたのかわからないけどエスプレッソをご馳走してもらい、しばらくそこにいた。そんなに長居をした覚えはないのだけど、店を出てスタジアム前の広場にたどり着いた時には既にキックオフ1時間前を軽く切っていた。で、最悪なことにマッチデープログラムが既になくなっていた・・・。

うわぁぁぁぁ、出遅れてしまったーーー!!!
こんな特別な一戦のマッチデープログラムを入手できなかったなんて!
私のバカバカバカ!!!


ほとんどの人がスタジアム入りしてます。寄り道に時間を掛けすぎました。

めっちゃ落ち込んだ状態でスタジアム入り。しかも自分の席に体格のいいオヤジが座っていて途方に暮れる。今年も「空いてる席が私の席」なのね・・・。いいわよ。空いてる席に適当に座るから。
一列後ろの席が空いていたのでそこに腰掛けると、後ろの爺さんに怒られた。そこは爺さんの友人の席で、これから来るのだという。そんな~。今日は空席がほとんどない。私はどこに座ればいいのよ?
「私の席は本当はそこなんだけど、他の人が座っているから座れないの」と英語で訴えると、爺さんがチケットを見せなさいと言う。チケットを見せると爺さんはデカイ声で私の席番号を2回読み上げた。すると体格のいいオヤジが左右の人に声を掛けて少しずつ詰めて私のスペースを空けてくれた。実はこの列、デブが多くて皆が少しずつはみ出して座っていたから私の席が埋まっていただけらしい。ということで、爺さんにお礼を言って無事自分の席に着いたのだが、とにかく狭い。お前ら少し痩せろ!
最初は憮然としていた私だったけど、すぐに周りから「日本人?」と話しかけられてオヤジたちと仲良しになる。アモルーゾが好きだと言うとオヤジたちが顔を輝かせて、ナショナーレがどうとか、アッズーリがどうとか捲くし立てる。まただ。昨日のサンタガタのオヤジたちと同じだ。この時も私は事情が飲み込めなくてアモルーゾが代表に招集されたのかと思っていた。(笑)
そのうちお決まりのように話題は俊輔のCLでの活躍になり、ここでもマンU戦のFKを大絶賛された。そしてここでもレッジーナに戻って来てくれとお願いされる。私にお願いされてもねえ・・・。そしてここでも「今FK蹴っているのテデスコだよ、テデスコ!」と散々な言われようのテデスコ。(爆)

大人も子どももNAKAMURAがいっぱい!

周りを見渡すと10番NAKAMURAがたくさんいる。今でも着てくれて嬉しいな。
・・・貧乏で新しいユニを買えないだけかもしれないけど。

子どもたち可愛かったよ♪

ピッチ上では子どもたちによるイベントが行われていたが、それも終わっていよいよキックオフが近づいてきた。クルヴァのウルトラス主導による応援歌にも熱がこもってくる。今日のレッジョは雨上がりで涼しいけど、スタジアムは途轍もなく熱い。

この人たちの声援を聞いていると涙がこみ上げてきます


南イタリア遠征記2007 | Comments(2) | Trackback(0)
2008/04/05

十日目①:二年振りに聞いた「ヘーイ、マッザーリ!」

5月27日(日)雨のち曇り

朝起きて窓を開けると外は雨だった。
ありゃ~、雨か~。晴天で死ぬほど暑いのと、雨でぬかるんだピッチと、選手にとってはどっちがやり易いんだろう・・・。
支度をしてサロンへ降りていく。カウンターの中にいるカルロに「ボンジョルノー!」と挨拶してカプチーノを頼もうとしたその瞬間、左側から野太い声の大合唱が聞こえた。

ヘーイ、マッザーリ!!!

へ?私に向かって「ヘーイ!マッザーリ!」と呼びかけるのはカルロだけ。しかもそれは2005年遠征の時だけで、翌年は少しだけホテルマンとして成長したのか「ヘーイ、マッザーリ!」とは言わなくなった。しかも今カルロは私の目の前いる。じゃあ、いったい誰が「ヘーイ!マッザーリ!」と呼んでいるんだ???
恐る恐る左を向くと、サロンで朝食を取っている十数人の男性泊り客が再び笑顔で「ヘーイ、マッザーリ!」と繰り返した。カルロに目を戻すと、してやったりという顔でニヤニヤ笑っている。この野郎、私が監督に惚れていて毎年レッジョにやってくることを、こいつらに教えやがったな。
彼らの半分はレッジーナのジャージやユニを着ている。どうやら奇跡の残留を見届けるためにやってきた遠方のレッジーナファンらしい。いや、もしかしたらジャーナリストかも?
野郎共は「こっちにおいでよ!一緒に食べようよ!」と無理やり詰めて私のために一つ席を空けてくれたけど、悪いけど私、こんな男臭さムンムンのところで朝食を食べたくないの。もっと爽やかな空気の中で食べたいのよ。
ということで、カルロが淹れてくれたカプチーノだけ持って早々に部屋に逃げ帰り、テレビを見ながら昨夜食べ切れなかったパニーニを食べた。

※私とカルロのバトルの発端は下記2005年遠征記のエピソードを参照のこと。
二日目②:マッツァーリではなくマッザーリ
三日目①:頭はいいけど不細工な監督?!

10時過ぎると雨が上がったので散歩に出かけた。天気が悪いので、海岸通りは週末だというのに人っ子一人いない。レッジョでこんなにどんよりとした空と海を見たのは2004年遠征以来だ。

半袖では寒かったです・・・

大きなプロペラ音が聞こえたのでそちらを見ると、黄色い小型飛行機が海面すれすれに飛んでいる。これは何なんだろう?

20分くらい近くを飛んでました

散歩の最中に何度か軽い雨が降ったけど、強い風に雲が飛ばされて空がだんだん明るくなってきた。もう本格的に降ることはなさそうだ。雨は上がったし、涼しいし、試合をする方も観る方も快適かもしれない。でも、ちょっと風が強すぎるかも。ボールが流されそうだなあ。いや、例え風が強かろうとレッジーナはロングボールを放り込むようなサッカーはやっていないから大丈夫か。
新聞スタンドでガゼッタを買い、乾いてきたベンチに腰掛けて目を通す。今週のSport weekの特集はもちろんミランのビッグイヤー獲得。日本でこれをネットオークションに出品したら高く売れるかしら?などと不届きなことを考える。(笑)
1時間くらいかけて隅々まで眺めてから(読んだのではなく眺めただけ~)12時過ぎにバールで甘いパンを買ってホテルに戻った。
さて、早めにオレステ・グラニッロへ行くとするか。もう落ち着かなくて何も手につかない。スタジアムでティフォージと一緒に試合開始を待っている方が、きっと精神的に楽だよね。
南イタリア遠征記2007 | Comments(0) | Trackback(0)
2008/03/29

九日目⑩:決戦前夜-眠れぬ夜-

さて、今夜は何を食べようか。まだ昼間のように明るい午後7時頃、当てもなくふらふら歩き回るけど食べたいものが思い浮かばない。明日の決戦を前に早くも緊張しているせいだ。こういう時は海を見て気持ちを静めるに限る。
多くの選手たちをこの地に引き止めるのに一役買っているレッジョの青い海。俊輔も対岸に住んでいたヤナギも、この海の美しさにはずんぶん慰められたよね。

2日前に板貫さんが撮ったステキな写真

中華を食べる気分でもなく、結局3日前にCL観戦させてくれたピッツェリア『Qbizza』へ行く。あの時の親切な黒人の店員さんが今日もいて、はち切れそうな笑顔で迎えてくれた。そして予想通り「お友達は?」と聞いてくる。で、「フィレンツェ」と答えると物凄く残念そうな顔をする。今日はレッジョの民と何度同じような会話を交わしたことだろう。サンタガタの常連さんたちにも「お友達は?」と何回も聞かれ「フィレンツェ」と答えると一様に残念そうな顔をされた。だよね、日本語と英語しか話せない私とじゃ会話も弾まないもんね。

すみませんねえ、残ったのが私の方で。

下手糞なイタリア語は写真でカバー。デジカメをバッグから取り出し、この3日間で撮影したマッツァーリ監督や選手との2ショットを見せて、店員さんたちとそれなりに盛り上がる。
あまり食欲を感じないのにピッツァ・マルゲリータとハム類と野菜を挟んだボリューム満点のパニーニをテイクアウトで注文。食べきれないかも・・・。

帰り際に入り口付近の席でビールを飲んでいた男性4人組が「チャオ!ナカムーラ!」と声を掛けてきた。イタリア語は話せないと言っているのに4人ともお構いなしにベラベラとまくし立てる。

セルティック
マンチェスター・ユナイテッド
プニツィオーネ(フリーキック)
スプレンディド(素晴らしい)
ベリッシモ(最高に美しい)


聞き取れた単語は少なくても、彼らが俊輔のCLでの活躍を喜んでいるのが十分に伝わってくる。彼らだけではない。今日サンタガタで会ったオヤジたち然り。翌日オレステ・グラニッロで出会った大勢のティフォージ然り。レッジョの民は皆、元レッジーナの選手がCLで大きな注目を集めたことが誇らしくて仕方ないようだった。どれだけ皆に誇らしく思ってもらえているか、俊輔に直接教えてあげたい・・・。

ホテルに戻ってテレビを見ながらピザを食べる。やっぱりピザだけでお腹がいっぱいだ。パニーニは明日の朝に食べることにしよう。
テレビではミラノでのビッグイヤー獲得のお祭り騒ぎの様子が流れていた。喜びに沸くミラノの民。お願いだから明日はレッジョの民に喜びをお裾分けしてね。どうか大きな仕事をやり終えたミランが腑抜け状態でレッジョにやってきますように。

その晩はなかなか寝付けなかった。明日レッジーナの運命が決まると思うとドキドキして胸が苦しくなる。
選手たちは眠れているんだろうか。
尋常じゃないプレッシャーの中で、みんな力を発揮できるんだろうか。
何度も寝返りを打っている間にいつしか眠りに落ちた。浅い眠りの中で明け方に雨の音を聞いた気がした。

南イタリア遠征記2007 | Comments(0) | Trackback(0)
2008/03/27

九日目⑨:土曜日の出待ちの風景その4

やっとアモルーゾが出てきた。昨日だけは珍しく早かったけど、いつも必ず最後の方に出てくる。去年もそうだった。実は支度が遅い人なんだろうか?
アモルーゾのファン層には偏りがない。子どもから年寄りまで満遍なく人気がある。強いて言うならカップルが多いのが特徴かしら。「ニック最高だよねー」なんて言いながら、恋人たちが背番号17のアモルーゾのユニを手に、ファンサの順番が回ってくるのを仲睦まじく待っている。いいなー。私もステキな殿方と一緒に出待ちしたいもんだわ。こんなオヤジ軍団じゃなくて・・・。

ファンにとっても愛されているアモルーゾだけど、コッツァの愛され方とはまた違う。去年の遠征で凄まじいまでのコッツァ人気を目撃して感じたのは、レッジョの民にとってコッツァは掛け値なしで家族なんだということ。家族だから遠慮がない。子供たちは少々コッツァの機嫌が悪そうでも平気で腕にぶら下がっちゃうし、コッツァの車のボンネットにも平気で乗っちゃう。おじさんサポたちも何か分からないことがあると、スタッフじゃなくて何でもコッツァに尋ねる。両者の間には絶対的な信頼関係があって、俺たちのチッチョが自分の意思でレッジョを出て行くことなんて有り得ないと、みんな心からそう信じている。
一方、アモルーゾとレッジョの民の距離はそこまで近くない。私の勝手なイメージで語らせてもらうと、
貴方のような人にレッジョを好きだと言ってもらえて恐縮です!
みたいな感じ?もっと分かりやすく例えると、貧乏でうだつの上がらない男が深窓の令嬢に愛を告白されて、「マジ?俺なんかで本当にいいの?」と戸惑っている感じに似ている。で、二人は相思相愛で一緒に暮らし始めるんだけど、男は心のどこかでいつも怯えることになる。「いつか彼女は自分に相応しい世界に帰って行ってしまうんじゃないか」と。そう、レッジョの民はアモルーゾに恋している。このまま添い遂げられるかどうかは、今はまだ分からない。ハッピーエンドになるといいのだけど。

オヤジ全員がアモルーゾとの2ショットを希望したので、カメラマンの私は大忙し。でもその度にアモルーゾがファインダー越しに私に微笑みかけてくれるので、めっちゃ得した気分になる。写真撮影が終わったオヤジたちは、そのままアモルーゾを取り囲んで、しばし談笑。オヤジたちがアモルーゾに「ナショナーレ、ナショナーレ」としきりに言っていたので代表から招集がかかったのかと思ったのだけど、帰国してから調べてみてもそういう事実は全くなかった。恐らくオヤジたちは「ニックは代表クラスの選手だ!」とか「なぜ代表に呼ばれないんだ!」と言っていたんだろうな。
アモルーゾは面倒がらずにオヤジたち全員の言葉に静かに耳を傾け、ニコニコしながら一人一人と誠実に言葉を交わしていく。相手が言いたいことを全部言い切るまで、いつまでも待っていてくれる。で、アモルーゾと話したオヤジたちが必ず口にするのが「シンパティカ」とか「シンパティコ」という言葉。「感じの良い」「好感の持てる」という意味だ。
性格がひねくれている私はアモルーゾがあまりにも出来すぎた人なので、これは演技なんじゃないかと疑ってしまうのだけど、この人は時々思いがけないことをするんだよね。この日もオヤジたちに褒めまくられたアモルーゾは、突然両手で顔を覆って「いや~ん」という風に体を左右に捻った。いや、恥ずかしがり屋で褒められると落ち着かなくなる性格だとは聞いていたけど、そんなデカイ体でそんな乙女なポーズをされても・・・。
この絶妙な外し具合、演技じゃ無理だよね。もしこれが計算ずくの演技だとしたらアカデミー賞ものだよ。やっぱ素でいい人なんだろうなぁ。

オヤジたちから開放されたアモルーゾは「チャオ!」と笑顔で挨拶すると、ヴィトンのキャリーバッグを転がしながら早足で歩き始めた。今思うと、この時アモルーゾはかなり急いでいたのだと思う。しかし自分の2ショットをまだ撮っていなかった私は、空気を読まずに大声でアモルーゾを呼び止めた。

待ってー!私も貴方と一緒に写真を撮りたいのー!!! ←英語

するとアモルーゾはぴたりと立ち止まり、笑顔で振り向くと、いつものように「ここにおいで」という風に右腕を広げた。わーい♪と走っていって、広げた右腕の中にすっぽり納まる私。

毎日握手してもらえて幸せでした♪

そして今日もビックリするくらい冷たい手で私の右手を握ると、体をかがめて私と視線の高さを合わせ、「チャオ、チャオ!」と優しい笑顔で私の目を覗き込む。どんなに笑っていても、どこか寂しそうに見える不思議な目。この目を見ていると、この先のあまり長くはないであろう彼のサッカー人生が、穏やかで幸せなものでありますようにと祈らずにはいられない。とりあえず明日は彼の目が喜びでいっぱい輝きますように。

近くにアモルーゾのBMW-X5が止まっていて、車の前にはレッジーナのスタッフが立っていた。そしてアモルーゾと荷物を乗せると一旦駐車場へ走っていってそこにBMW-X5を置き、すぐにチームの乗用車に乗り換えてアモルーゾと荷物を乗せてチームバスの元に戻ってきた。アモルーゾだけ特別待遇なのね。って、違うよ。そんだけ急いでいるってことでしょ。その時点でようやくアモルーゾがチームバスを長いこと待たせていたことに気がつく私。
チームバスの前ではマッツァーリ監督がタバコを吸いながらアモルーゾを待っていた。そして足元に転がっている4,5本の吸殻を指しながらアモルーゾにお小言を言っている。「ニコラ、君は私を肺ガンにしたいのかね?」とか言ってるのかなぁ。それに対して一生懸命言い訳しているアモルーゾが妙にカワイイ。って、カワイイなんて言ってる場合じゃないよね。ごめんアモルーゾ、急いでいることに全然気がつかなくて。(滝汗)

全員を乗せたチームバスがゆっくりと走り出す。お見送りをしているファンは50人位。
最前列に座っているマッツァーリ監督がバスの窓をコツコツ叩いて合図すると、私に向かって手を振った。有頂天で手を振り返す私。
次いで監督の2つ後ろに座っていたミッシローリ君が、超キュートな笑顔で私に手を振ってくれた。来年もお土産持ってくるからね、ミッシ♪
ミッシの後ろに座っていたテデスコが両方の掌を合わせて3回短く頭を下げる。そのお辞儀は俊輔に習ったのか?その後今度は真っ直ぐに立ち上がり、深々と頭を下げて90度のお辞儀をした。テデスコのお辞儀にウケまくって腹を抱えて笑い転げていたので、その後ろの選手たちが私に手を振ってくれたのかどうか確かめられなかった。もしかしたら、アモルーゾが手を振ってくれていたかもしれないのに~。でもいいや。楽しませてくれてありがとう、テデスコ。
敷地内からバスが見えなくなるまで、皆と一緒に歓声を上げながらバスを見送った。さあ、後は明日スタジアムで精一杯声援を送るだけだ。

練習場の入り口の前で仲良くなったチビッ子たちと記念撮影。

遊んでくれてありがとう

赤白帽の男の子のお父さんが携帯電話を貸してくれたのでアントネッロに電話する。
「チャオ!アレナメント、フィニート。サンターガタ、ペルファボーレ!」
単語を並べただけの私のイタリア語に大爆笑するチビッ子たち。いいのよ。言葉なんて通じればいいんだから。
最後は「一緒にジェラートを食べに行こう」というオヤジの誘いを何とか振り切ってアントネッロの車に乗り込んだ。とっても楽しかった今年のサンタガタ練習見学はこれにて終了。
南イタリア遠征記2007 | Comments(2) | Trackback(0)
« Prev | HOME | Next »