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2009/08/21

レッジョ編vol.3【律儀なチリ人カルモナ】

いきなり車道に飛び出してきた邪魔なアジア人をはね飛ばすことなく、車はゆっくりと私の目の前で停止した。停まってくれた運転席の選手にお礼も言わず、いや、その前にその選手の顔さえ見ず、速攻で助手席側に回る私。カルモナは自分に用があるとは思っていなかったようで、「え?僕なの?」という感じで慌てて窓を全開にした。そして、お口をポカーンと開けて私を見上げる。
勢いで止めたはいいけど、これ、すんごいドキドキするわ。2年前に板貫さんが動揺してイタリア語を話せなくなったのがよく分かる。と、とりあえず初対面だし本人確認しておかなくちゃ。人違いはしていないと思うけど念のため。
「カルモナ?」
「スィ」
小さい声で返事をした後は、またお口をポカーンと開けて私を見つめるカルモナ。笑っちゃうくらい無防備に素で驚いている。ごめんね、こんなに驚かせて。てか、私も自分自身の無謀さに驚いて声が出ないのよ。←おい
こんなシチュエーションを想定していなかったから、イタリア語で何も準備してこなかった。焦れば焦るほど頭の中が白くなってイタリア語が全く浮かんでこない。この気まずい沈黙を早く何とかしないとカルモナに「得体の知れない外国人」という最悪の印象を残すことになってしまう。ど、ど、ど、どうしよう~。
本来なら「いきなり車を止めてごめんなさい」とか「私は日本のレッジーナファンです。貴方に手紙を持ってきました」とか言うべきところを、全部端折って英語で“This is for you!”と白い封筒を両手でガバッと差し出した。その瞬間にカルモナは外国人の女性ファンが体を張って車を止めてまで自分に手紙を渡してくれたという状況を理解してくれた。

グラッチェ!

やっと笑ってくれたカルモナ。心が洗われるような無邪気な笑顔を向けられて、その場に座り込みそうになるくらいホッとする。ああ~、嫌われなくて良かったよ~。こっちは「プレーゴ」という言葉すら出てこない。
運転席の選手は私が手紙を渡すだけで満足した様子を確認すると、ゆっくりと車を発進させた。このとき初めて運転席に目をやる私。カルモナの向こう側にいたのは愉快そうに笑うキレイな男の子。・・・アルヴァレス?いや、アルヴァレスが私に笑ってくるはずがない。きっと違う誰かだ。
カルモナは少し恥ずかしそうに「チャオ!」と笑顔で手を振ってくれた。

私は本当に嫌われなくて良かった程度にしか考えていなかったのだけど、この日の外国人の女性ファンが体を張って車を止めてまで自分に手紙を渡してくれたという出来事はカルモナにとって大事件だったらしい。



翌水曜日、チームは練習後に1時間近くミーティングをしていて、終わったと同時に選手がクラブハウスから一斉に出てきた。この日私はアマラントユニに選手全員のサインを貰おうとしていたので、前から迫ってくる選手の大群にビビッた。これじゃ誰かのサインを貰っている間に他の選手がみんな行っちゃうじゃん!
とにかく手当たり次第に一人でも多くの選手を捕まえるしかないので、まずは先頭にいたヴィオラと思われる若造に声をかけた。と、その時、小走りで門から出てきたカルモナの姿が目に入った。キョロキョロと辺りを見回して誰かを探していたカルモナの視線が私のところでピタリと止まった。そして私がヴィオラにサインを貰おうとしているのを見ると、なんの躊躇いもなくヴィオラの後ろに並んだ。しかも走って。

え?並んじゃうの?!
てか、別に走らなくても競争相手いないから・・・。


ヴィオラの後ろについたカルモナはモゾモゾ落ち着かない。待ちきれないみたいで「まだぁ?」という感じでヴィオラの背後から横に首を伸ばして前を覗き込んでくる。

ダ、ダメだ、カルモナが面白過ぎてヴィオラに集中できない・・・。
何なんだ、この子は。やることなすこと、いちいち私のツボにはまりまくりなんですけど!


わずか1分弱の間に私のハートはこの小さなチリボーイに鷲掴みにされていた。

ヴィオラが行ってしまうと、カルモナは張り切ってペンを手に取り、とても丁寧にサインしてくれた。サインすると「はい!」と(実際には声に出してはいないんだけど)子どもみたいに元気よくユニとペンを返してくる。か、かわいい・・・。
「グラッチェ」とお礼を言うと、それには答えずに何か言いたげに私の顔を見つめるカルモナ。しかし、私たちの脇を通り抜ける選手の流れに目をやると「チャオ!」と言い残して行ってしまった。しかも走って。

君、70年代の青春ドラマの主人公みたいだね・・・。

「行かないで待ってて」と頼まれたわけでもないのに並んでまでサインしてくれたのはもちろんこの子だけ。なんて優しい子なんだろう。何か言いたかったみたいだけど、時間を取らせると私が他の選手のサインを貰えないと気を遣ったようだ。この子はいつもキョロキョロして一生懸命周囲の空気を読んでいるいじらしい子だった。



カルモナは木曜日も門から出てくると真っ先に私の姿を探して自分から来てくれた。
呼ばなくても来てくれた選手は過去にもいる。代表的なのは2006年遠征のビアンキだけど(あの頃がマックスでかわいかったなぁ・・・遠い目)、カルモナはビアンキみたいに愛くるしい笑顔を振りまくタイプではない。そもそもあまり言葉を発しない。毎日私のところにやってきては「僕、今日は何をしましょう」てな感じで、無言で真っ直ぐに私の目を見つめるのだ。 
真面目な御用聞きの少年みたいというか、忠犬ハチ公みたいというか、とにかく律儀な子だった。私がいる間は毎日ファンサービスするんだって心に決めていたっぽい。つーか、毎日私が自分に用があると信じて疑わないところがこの子の凄いところである。

デジカメを構えて「写真撮っていい?」と聞くと、カルモナは少し顔を曇らせ、ずいぶん間が空いてから「スィ」と返事をした。アハハ、やっぱり写真は嫌いなのね。(笑)
レッジーナ公式のこの子のインタビュー動画を見ると、最初から最後まで絶対にカメラと視線を合わせない。いつもそっぽを向いて、落ち着きなく体を揺らし、目があちこち泳ぐ。画面いっぱいに「早く終わらないかなぁ」という空気が漂っていて、インタが終わると同時に「はい、終わった、終わった~」とそそくさと帰ってしまう。最後カメラに向かって微笑むなんてこともない。ちょっと若い頃の俊輔を彷彿とさせるのだ。
どうでもいい俊輔との共通点をもう一つ。レッジーナに来てからいつも髪を短く刈っているが、実はカルモナも天パである。ほら。

アモルーゾみたいなクルクルヘア

画像検索をかけると、もっと髪が長くてアフロ一歩手前のファンキーなカルモナを拝めたりする。興味のある人は自分で探してみてちょ。
で、私が撮った写真がこれ。見事に硬くなっている。

カメラ嫌い・・・

この写真を見て板貫さんが一言。
「コルドバ(インテル)の若い頃の写真にしか見えません。」
ああ、確かに似てるかも。(笑)
来年辺り私にもっと慣れてくれたら、カメラを向けても自然な笑顔をしてくれるようになるのかな。着ている物はいつもこんな感じだった。ファッションに興味があるようには見えない。この子がレッジーナに移籍してきたときに「垢抜けないお兄ちゃんが来た」とこのブログに書いたけど、イタリアで1シーズン過ごしても垢抜けないまま。でもいいの。このままずっと変に擦れないでいて欲しい。

撮り終わって「グラッチェ!」とお礼を言っても、今日もそれには答えずにじっと私を見つめるカルモナ。何か言いたげにモジモジしている。「うん?」と首をかしげて見つめ返すと更にモジモジ。多分、いや、絶対に「貴方のプレーを日本で見られると思うと、今からとても楽しみです♪」と手紙に書いた私に「日本でのキリンカップには行けない」と伝えたかったのだと思う。だって、それ以外にカルモナが私に伝えたいことなんて思い当たらないもの。
しかし、途中何度か口を開きかけても、またすぐ閉じてしまう。結局最後まで何も言えないカルモナであった。どうして言えないのかな???

① 女性の前に出ると何もしゃべれなくなる奥手タイプ
② 私との間に共通の言語がないので、どうすればいいのか分からなかった(私は日本語と英語。カルモナはスペイン語。イタリア語は共に下手。てか、私は話せないに等しい)
③ 日本に行けないと伝えて私をガッカリさせたくなかった


うーん、②の可能性が一番高いだろうか。カルモナにしてみれば「スペイン語で手紙くれたのに、どうしてスペイン語話さないんだろう?」と混乱していたに違いない。金曜日にサントスから「おまえ何ヶ国語しゃべるんだ?」とチェックが入ったが、あれは恐らくカルモナのためだったのだと思う。



金曜日はアルヴァレスと一緒に出てきた。
この日も私の元に真っ直ぐやってくるカルモナ。でも、今日はもうお願いすることがないんだけど。
2ショットはまだ撮ってないけど写真が嫌いなのは明らかだから頼むの可哀想だし、今年初対面だから去年撮った写真にサインをもらうことも出来ないし、さてどうしよう。何をしてもらうか必死に考えていたら、いきなりカルモナが手を伸ばしてきて、私が左手に抱えていたアマラントユニを手に取った。へ?とっくにサインしてくれたでしょ?
カルモナはユニを広げて他の選手のサインをチェックし始めた。そして黙々と上から下まで隈なく調べると、突然アルヴァレスの方を向いて「サインしてあげて!」とユニを渡した。

カ、カルモナ、裏見て裏!後身頃だけじゃスペースが足りなくて前身頃にもサインしてもらっているの!アルヴァレスには昨日前身頃にサインしてもらっているのよ!

「昨日したよ」とカルモナにではなく、何故か私に言うアルヴァレス。分かってるって。(笑)
そっか、ちゃんと私が選手全員からサインを貰えたか気にしてくれたのね。この子本当に優しいな。
このあと私はアルヴァレス相手にとんでもないことをやらかし、それを間近で見ていたカルモナのリアクションがちょっとかわいかったのだが、その話はアルヴァレスのエントリーにて。
更にそのあとアルヴァレスの車に乗って駐車場から戻ってきてから、更にカワユイことをしてくれるのだが、その話はサントスのエントリーにて。



土曜日は午前練習の入待ちをした。
この日カルモナ、ストゥアニ、ヴァルデスはアルヴァレスの車に便乗して集団でやってきた。そして駐車場に車を置いて戻ってきた後、4人全員で「チャオ~!」とジャポネーゼに元気にご挨拶。土曜日の時点で4人全員とすっかり打ち解けていた。
このとき私はレッジーナのフロントの人たちと話が弾んでいて、さすがにカルモナはフロントの人と一緒にいる私の元には駆けてこなかった。その代わり、ちょっとのあいだ門の前で立ち止まって私が来てくれるのを待っていたが、すぐに諦めて行ってしまった。ジェノヴァで会った恰幅のいい親父(実はとっても偉い人)が「カルモナのところに行かなくていいの?」と聞いてくれたのに、どうして行ってあげなかったんだろう。
ごめんね、カルモナ。このとき私は練習前の慌しい時にわざわざ話さなくても練習後にまたゆっくり会えると思っていた。実はとんでもない邪魔が入って会えなかったんだけど、それでも日曜の試合後の出待ちでは会えると信じていた。そっちも同じ奴に邪魔されて、そいつとは大喧嘩することになるのだけど。当時カリアリだったアックアフレスカ君の前で。
もしかしたらカルモナがこの日こそ何か伝えてくれたかもしれないのに本当に残念。来年はイタリア語もしくはスペイン語でカルモナの話を引き出せるように何とかしなくちゃいけないな。9月にバルセロナで予行練習がんばろう。



えー、サンタガタで毎日私の姿を探してくれたかわいいカルモナが、今季私の溺愛の対象になることをここに宣言しておきます。かわいかったのはカルモナだけじゃないので、溺愛の対象はいっぱいいるんだけど。

☆ 注意 ☆
体を張って選手の車を止めるという行為は、上手く行けば私と板貫さんのケースのように選手との距離を縮めてくれる有効な手段となりますが、もしかしたら怪我するかもしれませんし、常識外れな奴だと選手に嫌われる可能性も大です。よーく考えてから実行しましょう。

南イタリア遠征記2009 | Comments(6) | Trackback(0)
Comment
遠征記はド爆笑しながら読ませていただいてるんですが、なかなかコメできなくてすみません。
自分から並んでサインをくれるなんて…信じられないいい子ですね。普段写真やビデオでしか見てない選手の中身がちょっとした態度からわかると、またいっそう深情けが進行するんですよね~♪

チェラヴォロとのトレードで、カペッリがお世話になります。こがもレッジョで活躍の法則どおりに役に立ってくれるといいなと思っています。よろすくおねがいします。
HARUKAさん、こんにちは。
いつもド爆笑しながら読んでくださって感謝です。
ファンサはファンが並ぶものであって、選手が並んじゃいけませんよねえ(笑)
今までいろんな子がいましたけど、カルモナは正真正銘ニュータイプです。ずっとレッジョにいて欲しいけど、来夏は資金調達のために売り飛ばされることを今から覚悟してます。

こちらこそチェラヴォロをよろしくお願いします。今のところジョエルソンも残っているし、こがも率がにわかに高くなってまいりました。このあいだ来たパガーノも喜んでいることでしょう。みんなレッジーナのA昇格に手を貸してね♪
>“This is for you!”と白い封筒を両手でガバッと差し出した
リーメイさんのが私よりよっぽど「愛の告白」っぽいじゃないですか!(爆笑)
私の頭が暑さでやられているのか一瞬「アクアフレスカ君と大喧嘩した」と読んで、「え?!」と身を乗り出してしまいました。
私のお気にアルヴァレスのエントリーも楽しみです。

レッジーナは今日試合ですね。頑張れよカルモナ。
カルモナに「愛の告白」?
カルモナは若過ぎてそういう対象にはなりません。私が誘惑したら間違いなく犯罪でしょ。あんないたいけな少年を(笑)
でも南米人は結婚早いからなぁ。来年いきなり所帯持ちになっていたらどうしましょ。(^^;)

アックアフレスカ君みたいなカワユイ男の子とは大喧嘩しませんわよ。しかし、あいつのことを思い出すと今でも腹が立ってきます。最後に南米組のみんなに挨拶してから帰りたかったのに。(T-T)

> 私のお気にアルヴァレスのエントリーも楽しみです。
アルヴァレスはもうちょっとしてからね。私、すんごい失礼なことしたんですけど笑って許してくれました。何やらかしたかは、私が書くまでのお楽しみということで。(^^;)

> レッジーナは今日試合ですね。頑張れよカルモナ。
いえ、それがレッジーナ×チェゼーナの試合だけ月曜開催なんですよ。

カルモナくんの答え
④リーメイさんに告白しようとした
空気読める若手。いいッスね。私は(略)
ないない、絶対ない!(爆)
そんなカワイイことしてくれたら日本に連れ帰っちゃいますわ。←だから犯罪だって

うちの会社の外国人スタッフでも、日本語が分からないから周囲を見回して状況を読むのが癖になっている人もいます。カルモナの場合、イタリア語がダメだからそうなったのか、元々そういう性格なのかは分かりませんが。あの子は大胆なのか繊細なのかよくわからない不思議な子でした(天然入っていることだけは間違いない)。

空気読める大人になりましょうね。お互いに(笑)


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