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2008/03/27

九日目⑨:土曜日の出待ちの風景その4

やっとアモルーゾが出てきた。昨日だけは珍しく早かったけど、いつも必ず最後の方に出てくる。去年もそうだった。実は支度が遅い人なんだろうか?
アモルーゾのファン層には偏りがない。子どもから年寄りまで満遍なく人気がある。強いて言うならカップルが多いのが特徴かしら。「ニック最高だよねー」なんて言いながら、恋人たちが背番号17のアモルーゾのユニを手に、ファンサの順番が回ってくるのを仲睦まじく待っている。いいなー。私もステキな殿方と一緒に出待ちしたいもんだわ。こんなオヤジ軍団じゃなくて・・・。

ファンにとっても愛されているアモルーゾだけど、コッツァの愛され方とはまた違う。去年の遠征で凄まじいまでのコッツァ人気を目撃して感じたのは、レッジョの民にとってコッツァは掛け値なしで家族なんだということ。家族だから遠慮がない。子供たちは少々コッツァの機嫌が悪そうでも平気で腕にぶら下がっちゃうし、コッツァの車のボンネットにも平気で乗っちゃう。おじさんサポたちも何か分からないことがあると、スタッフじゃなくて何でもコッツァに尋ねる。両者の間には絶対的な信頼関係があって、俺たちのチッチョが自分の意思でレッジョを出て行くことなんて有り得ないと、みんな心からそう信じている。
一方、アモルーゾとレッジョの民の距離はそこまで近くない。私の勝手なイメージで語らせてもらうと、
貴方のような人にレッジョを好きだと言ってもらえて恐縮です!
みたいな感じ?もっと分かりやすく例えると、貧乏でうだつの上がらない男が深窓の令嬢に愛を告白されて、「マジ?俺なんかで本当にいいの?」と戸惑っている感じに似ている。で、二人は相思相愛で一緒に暮らし始めるんだけど、男は心のどこかでいつも怯えることになる。「いつか彼女は自分に相応しい世界に帰って行ってしまうんじゃないか」と。そう、レッジョの民はアモルーゾに恋している。このまま添い遂げられるかどうかは、今はまだ分からない。ハッピーエンドになるといいのだけど。

オヤジ全員がアモルーゾとの2ショットを希望したので、カメラマンの私は大忙し。でもその度にアモルーゾがファインダー越しに私に微笑みかけてくれるので、めっちゃ得した気分になる。写真撮影が終わったオヤジたちは、そのままアモルーゾを取り囲んで、しばし談笑。オヤジたちがアモルーゾに「ナショナーレ、ナショナーレ」としきりに言っていたので代表から招集がかかったのかと思ったのだけど、帰国してから調べてみてもそういう事実は全くなかった。恐らくオヤジたちは「ニックは代表クラスの選手だ!」とか「なぜ代表に呼ばれないんだ!」と言っていたんだろうな。
アモルーゾは面倒がらずにオヤジたち全員の言葉に静かに耳を傾け、ニコニコしながら一人一人と誠実に言葉を交わしていく。相手が言いたいことを全部言い切るまで、いつまでも待っていてくれる。で、アモルーゾと話したオヤジたちが必ず口にするのが「シンパティカ」とか「シンパティコ」という言葉。「感じの良い」「好感の持てる」という意味だ。
性格がひねくれている私はアモルーゾがあまりにも出来すぎた人なので、これは演技なんじゃないかと疑ってしまうのだけど、この人は時々思いがけないことをするんだよね。この日もオヤジたちに褒めまくられたアモルーゾは、突然両手で顔を覆って「いや~ん」という風に体を左右に捻った。いや、恥ずかしがり屋で褒められると落ち着かなくなる性格だとは聞いていたけど、そんなデカイ体でそんな乙女なポーズをされても・・・。
この絶妙な外し具合、演技じゃ無理だよね。もしこれが計算ずくの演技だとしたらアカデミー賞ものだよ。やっぱ素でいい人なんだろうなぁ。

オヤジたちから開放されたアモルーゾは「チャオ!」と笑顔で挨拶すると、ヴィトンのキャリーバッグを転がしながら早足で歩き始めた。今思うと、この時アモルーゾはかなり急いでいたのだと思う。しかし自分の2ショットをまだ撮っていなかった私は、空気を読まずに大声でアモルーゾを呼び止めた。

待ってー!私も貴方と一緒に写真を撮りたいのー!!! ←英語

するとアモルーゾはぴたりと立ち止まり、笑顔で振り向くと、いつものように「ここにおいで」という風に右腕を広げた。わーい♪と走っていって、広げた右腕の中にすっぽり納まる私。

毎日握手してもらえて幸せでした♪

そして今日もビックリするくらい冷たい手で私の右手を握ると、体をかがめて私と視線の高さを合わせ、「チャオ、チャオ!」と優しい笑顔で私の目を覗き込む。どんなに笑っていても、どこか寂しそうに見える不思議な目。この目を見ていると、この先のあまり長くはないであろう彼のサッカー人生が、穏やかで幸せなものでありますようにと祈らずにはいられない。とりあえず明日は彼の目が喜びでいっぱい輝きますように。

近くにアモルーゾのBMW-X5が止まっていて、車の前にはレッジーナのスタッフが立っていた。そしてアモルーゾと荷物を乗せると一旦駐車場へ走っていってそこにBMW-X5を置き、すぐにチームの乗用車に乗り換えてアモルーゾと荷物を乗せてチームバスの元に戻ってきた。アモルーゾだけ特別待遇なのね。って、違うよ。そんだけ急いでいるってことでしょ。その時点でようやくアモルーゾがチームバスを長いこと待たせていたことに気がつく私。
チームバスの前ではマッツァーリ監督がタバコを吸いながらアモルーゾを待っていた。そして足元に転がっている4,5本の吸殻を指しながらアモルーゾにお小言を言っている。「ニコラ、君は私を肺ガンにしたいのかね?」とか言ってるのかなぁ。それに対して一生懸命言い訳しているアモルーゾが妙にカワイイ。って、カワイイなんて言ってる場合じゃないよね。ごめんアモルーゾ、急いでいることに全然気がつかなくて。(滝汗)

全員を乗せたチームバスがゆっくりと走り出す。お見送りをしているファンは50人位。
最前列に座っているマッツァーリ監督がバスの窓をコツコツ叩いて合図すると、私に向かって手を振った。有頂天で手を振り返す私。
次いで監督の2つ後ろに座っていたミッシローリ君が、超キュートな笑顔で私に手を振ってくれた。来年もお土産持ってくるからね、ミッシ♪
ミッシの後ろに座っていたテデスコが両方の掌を合わせて3回短く頭を下げる。そのお辞儀は俊輔に習ったのか?その後今度は真っ直ぐに立ち上がり、深々と頭を下げて90度のお辞儀をした。テデスコのお辞儀にウケまくって腹を抱えて笑い転げていたので、その後ろの選手たちが私に手を振ってくれたのかどうか確かめられなかった。もしかしたら、アモルーゾが手を振ってくれていたかもしれないのに~。でもいいや。楽しませてくれてありがとう、テデスコ。
敷地内からバスが見えなくなるまで、皆と一緒に歓声を上げながらバスを見送った。さあ、後は明日スタジアムで精一杯声援を送るだけだ。

練習場の入り口の前で仲良くなったチビッ子たちと記念撮影。

遊んでくれてありがとう

赤白帽の男の子のお父さんが携帯電話を貸してくれたのでアントネッロに電話する。
「チャオ!アレナメント、フィニート。サンターガタ、ペルファボーレ!」
単語を並べただけの私のイタリア語に大爆笑するチビッ子たち。いいのよ。言葉なんて通じればいいんだから。
最後は「一緒にジェラートを食べに行こう」というオヤジの誘いを何とか振り切ってアントネッロの車に乗り込んだ。とっても楽しかった今年のサンタガタ練習見学はこれにて終了。
南イタリア遠征記2007 | Comments(2) | Trackback(0)
Comment
なんか、練習場見学って楽しそうですね。短気な私には、ファンサービスを待っているのは厳しそうですが。
コッツァ選手は新潟で言うところの・・・ファビーニョ選手(03-06新潟)でしょうか?神田勝夫先生(00-03新潟、新潟県出身、元日本代表)ですかね。
アモルーゾ選手は・・・黒崎久志(01新潟、元日本代表、現新潟コーチ)でしょうか。
全ての選手がファンに大人気というわけじゃないから、短気なreoさんでも大丈夫!(^^)v
スター選手狙いなら少々待たねばなりませんが。

新潟のコッツァがファビーニョor神田勝夫に大笑いしちゃいました。ファビーニョは大人気でしたよね。
新潟のアモルーゾが黒崎というのは、なんか分かります。
Jのクラブに当てはめると面白いですね。
マリノスで考えると、マリノスのコッツァはさしずめ松田直樹でしょうか。
マリノスのアモルーゾは、、、うーん、思い浮かばない・・・。誰だろう?

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