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2008/01/02

九日目④:アモルーゾ仲間外れ事件 私なりの考察

諸事情あって毎年何かしら遠征記には書けないエピソードが出てくるものだ。今年はこの『アモルーゾ仲間外れ事件』をお蔵入りエピソードにすべきかどうか迷った。迷ったけど書いてしまったので、最後まできちんとフォローしようと思う。きちんとしたフォローになっているかどうか全く自信がないのだけど・・・。
最初に断っておくけど、私が見たのはたった3日の間(木・金・土)の出来事だ。もしアリタリアのストに遭遇しないで、予定通り水曜日の練習も見学できていたら、全く異なる状況を目撃していたかもしれない。ほんの数日間でチーム状況を正しく把握するなんて無理な話である。だから今から私が書くことは、実際に見たこととここまでの報道を元にして組み立てた単なる想像というか、妄想に過ぎない。一つの仮説として読み流していただきたい。

CALCiO2002(2007年3月号)のマッツァーリ監督のインタビュー記事『孤独な挑戦』には次のような記述がある。

ところで、今のチームには、名前は挙げないが生意気な若手が一人いてね。最初、ベテラン連中は彼を煙たがり、練習中にその若手の足を削り始めたんだよ。私はすぐにそれを止めさせた。ベテラン勢にはこう言ったよ。「私に任せろ。もしあいつが規律を乱すようなことをしたら、私がいさめるから。とにかくお前たちは手を出すな」とね。その後、チームは急速にまとまっていった。問題が起きたら、小さなことでも決してそのままにしておいてはいけない。チームをまとめるというのは、簡単に言えばそういうことさ。

これを読んだ当時は「生意気な若手」がビアンキだとは思いもしなかったが、今ではこの「生意気な若手」は100%ビアンキなのだと確信している。
そんな生意気な困ったちゃんのビアンキだったけど、シーズン開幕からゴールを量産し(実際にはプレシーズンマッチからアモルーゾのポストプレー→ビアンキのゴールという形で爆発していたらしい)一躍チームの救世主としてイタリア中から注目されることとなる。自分が一番脚光を浴びることで気持ちよくプレー出来ていて、一時的に生意気の虫も治まっていたのではないだろうか。会見では口を開くたびに「ニコラと一緒だと、とってもやり易いんだ♪」と自分に点を取らせてくれるアモルーゾに感謝し、微笑ましいくらいのニコラLOVE振りを発揮していた。この発言に嘘はなかったし、本当にアモルーゾが大好きだったのだと思う。

では、いつからこの二人の関係がおかしくなったのか。私はカターニアの暴動で4月18日に延期になった第22節レッジーナ対メッシーナがきっかけだったのだと考えている。
この海峡ダービーでビアンキは前半13分に先制ゴールを決めたものの後半15分に交代を命じられ、その時の態度が悪かったことから「ビアンキは交代する際にチームメイトやファンに対して敬意を払うことを学ばなければならない」とマッツァーリ監督に怒られている。一方、この試合ドッピエッタでレッジーナを勝利に導いたアモルーゾは、ティフォージにとって一番大事なダービーで大活躍したことで評価が急上昇。この日を境にレッジョにおけるアモルーゾの評価がビアンキのそれを上回ることとなる。
以下、レッジョの地元紙Calabria Oraの4月20日付けの記事である。



レッジーナ ボンバー・アモルーゾの足
 ~彼はマッツァーリを含む全員に魔法をかけた~

彼はゴールによって魔法をかける。美しく、重要で、決定的なゴールだ。ちょうどダービーでのドッピエッタのように。
マッツァーリは言う。
「彼は真のカンピオーネ、真のリーダーであり、手本にすべき模範だ」

決して多くは語らず、口論などしたことがない。
彼はピッチで表現することを好み、それ故に南部のアイドルとなった。
「もしアモルーゾがシュートすれば、それはゴールになる。」
そうゴールだ。この海峡の町の2年間で、ニックは既に22ゴール決めている。
 ※ アモルーゾの応援歌
 E se tira Amoruso e se tira Amoruso è gooooooooool!!!
 ♪~もしアモルーゾがシュートすれば、
      もしアモルーゾがシュートすれば、
         それはゴールになる!!!~♪


最終的にメッシーナから手渡されたという奇妙な形だった。
「運よくレッジーナのオファーを受けたからね」と彼は今、笑いながら話す。
現在レッジョにはアモルーゾ・マニアが急増中だ。
「ここのファンは素晴らしい。僕はここで自分を取り戻せた。この町でとても順調だよ。レッジョは僕にとって理想的な環境だ。」
そこには若者アモルーゾの熱狂がある。レッジーナは彼を再生させた。今、彼はプレーし、ゴールし、楽しい時間を過ごしている。ユヴェントス時代のように。
「そうだね。でも僕はまだ32歳だし、あの頃からそんな歳をとったわけじゃないよ。」
謙遜は日々の糧だ。彼は3度のスクデットと1度のスーペルコッパを経験し、セリエAで85ゴールしている。にもかかわらず、彼にはスター気取りなところがない。それどころか多くの賞賛を受けると、彼は恥ずかしがって落ち着かなくなる。

そして試合後、マッツァーリも彼を賞賛した。
「彼がレッジョにやってきた時、私はこう思った。どうせ今となっては大きなモチベーションを失くしてしまった選手が自分の目の前にいるのだろうと。ところが彼は毎日毎日私を驚かせ続けた。ピッチの上だけじゃなく、普段の振る舞いにおいても。ビアンキは彼を手本としなくてはいけない。」
ローランジーニョはノートを取る。

ローランド・ビアンキに関しては、彼はメッシーナ戦でのゴールのお陰で今季17ゴールに達した。その数字にいかなるコメントも必要ない。シーズン終了まで彼らにはあと6節ある。20ゴールの壁は本当に打ち破られるかもしれない。
またコッツァの記録も破られるかもしれない。セリエAにおけるレッジーナFWのゴールランキングを見ると、今ではそれは射程圏内にある。もうアモルーゾはその記録までそれほど遠くない。
メッシーナ戦でドッピエッタだったニックは22ゴール(昨季11ゴール、今季今現在11ゴール)に達した。3位のビアンキは18ゴール止まりだ。ニックは元キャプテンの記録に近づくためにあと6節ある。アモルーゾはレッジョを離れる気が全くないので、この記録は破られる予感がある。来期にも。
キャプテン・フランチェスコ・コッツァに最大の敬意を払いつつ。



この試合からビアンキはばったりゴールできなくなり、逆にアモルーゾは一気にゴール数を伸ばしていく。ここまでビアンキのサポートに徹してきた感のあるアモルーゾが「(去年と同じ)11ゴールに届いたけど、更に自分を向上させたいんだ。僕のゴールがレッジーナの利益にもなるから。もっともっとゴールしたい」とゴールへの欲を出し始める。まあストライカーとしては当然のことだけど。

ビアンキはアモルーゾに自分のゴール記録を抜かれそうで怖かったのだと思う。また、周囲から何かにつけて「アモルーゾを見習え」「ゴールを量産できたのはアモルーゾのお陰」と言われることに辟易していたのだと思う。
ビアンキの気持ちも分からないでもない。若いときに誰もが経験するであろう「完璧なものへの反撥」がそこにあるような気がする。例えば、フランソワーズ・サガンの『悲しみよこんにちは』で、17歳の少女セシルが美しく知的で洗練された大人の女性アンヌに対して抱いた感情に通じるものがあるような。←古すぎて誰も分からないって
アモルーゾがあんな非の打ち所のない優等生じゃなくて、ビアンキと大喧嘩できちゃう人だったら、ちょっと違った展開になっていたのではないだろうか。激しくやり合って、その後でスッキリして仲直りできたかも知れない。もちろん大喧嘩して更に関係が悪化する可能性もあるけど・・・。

私が見た「アモルーゾ仲間外れ事件」は、エンポリ戦でPKを蹴らしてもらえなかったことが引き金となって起こった2日間だけの出来事なのか、それ以前から行われてきたことなのかは確かめようがない。でも『レッジーナ06-07シーズンの通信簿』でのビアンキへの辛辣な寸評を読むと、ある程度長いスパンでアモルーゾに対する態度に問題があったのではないかという気がする。これを書いたレッジーナの番記者さんも私と同じような場面を目撃していたのかもしれない。

だからと言って、ビアンキを性格の悪いイヤな奴だと切り捨てるわけにはいかない。
第29節カターニア対レッジーナ(3月18日)では、出番がなくても腐らずにチームを支えていたエステヴェスにゴールをお膳立てしたり、今年5月のサンタガタではマリアお婆ちゃんを自分の車で送っていったり(私自身が目撃)、大怪我で1年を棒に振った05-06シーズンに自分を励まし続けてくれたフィジカルスタッフへの感謝の言葉をレッジーナ公式で語っていたり、ビアンキがとっても優しい一面を持っていることは間違いないのだ。
きっと、あまりにも注目されて、マスコミにもてはやされて、女子ファンにモテモテになって、大事なことを見失っちゃったんだろうな・・・。

現在プレミアリーグのマンチェスターシティでレギュラーの座を獲得できずに苦しんでいるビアンキ。異なる文化に自分を適応させようと英語の家庭教師をつけて猛特訓しているようだ。
孤独な環境で必死にもがいて成功を勝ち取ることによって、選手として人間として大きく成長できるといいなと思う。そして負けん気の強さはそのままに精神面では大人になったビアンキが、アモルーゾが引退する前にセリエに戻ってきて、二人がピッチ上で再会できるといいなと思う。二人が笑顔で握手を交わし、堅く抱き合うシーンを見たい。絶対に見せてね、ビアンキ。

・・・・・・なんか全然まともな考察にならなかったなぁ。
南イタリア遠征記2007 | Comments(4) | Trackback(0)
Comment
あけましておめでとうございます
ご挨拶遅れましたが、今年もよろしくお願いします。

サガンの本は一応10代の頃読みましたが、あまり覚えてなく・・。
ストライカーって、エゴイストな面を持ってなきゃいけないとはいうけれど
大ざっぱにいうと、もどかしい嫉妬という名のやつだったんでしょうか、ビアンキ。
それでも今まで酸いも甘いもかみわけてるアモルーゾは、さすが大人だなという印象です。

ビアンキは、プレミアで2桁ゴールとりたいって言ってるみたいですから
環境が違う厳しい場所で、どれだけやって帰ってこられるかこれからも期待したいですね。
こんばんは
考察お疲れさまですm(__)m

本当にもう一度あの最強コンビを見てみたいですね。両方の気持ちがよく分かります。 だからなんかますます両方の事が好きになりました(^^)v 
これからもがんばれビアンキ、 アモルーゾ、これからもレッジョでずっとがんばって引っ張っていって下さい。

ではまた(^_^)/~
shashabooさん、こちらこそ今年もよろしくお願いします。(^^)

サガンの本は私も10代の頃に読んだのですが、結構はまって何度も読み返したのでストーリーはよく覚えています。たぶん今読むとセシルではなくアンヌの立場で読めると思うので、この正月休み中にもう一回読んでみようかな・・・。

そう、ストライカーはエゴイストじゃないと務まらないっていいますよね。
だから点さえ取っていれば多少性格に問題があってもいいのかなとも思います。
ビアンキは「自分がいろんな面で成長しないといけないことは分かっている」とどこかで発言していたので、一応自覚はしているみたいです。
もうすぐ25歳ですし、そろそろ若いから仕方ないでは済まされなくなるんで、ほんとプレミアで揉まれて大人になってくれるといいなと。
マスコミに潰されることなく育って欲しいです。ストライカーとしての資質は素晴らしいものを持っていると思うので。
ねぎらいの言葉ありがとう
ヤス君、こんばんはー。
年賀状届いたよー。ヤス君かわいいね。(^^)v

えーとね、ビアンキとアモルーゾは多分チームメイトとして再会する事はないと思います。一応私が想定しているのは対戦相手としてピッチ上で再会。その時に和解の握手をするというもの。ぜひ実現して欲しいです。

>ますます両方の事が好きになりました
そう言ってもらえて安心しました。頑張って書いた甲斐がありました。

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