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2011/08/24

7日目①:やっと伝えた言葉

2010年5月14日(金)曇り時々晴れ

ミケーレから今日の練習は非公開で9時スタートだと聞いたけど、そんな早い時間から始まるわけがない。イタリアだよ?しかも南だよ?
選手の入待ちが目的の場合は9時練習開始なら8時にスタンバイしていないと遅いのだが、ミケーレの情報を全く信じていなかったので9時10分前にサンタガタに到着。入口周辺には人っ子一人いない。下部組織の子どもたちすら見かけない。練習場開いてるよね?
入口の門をくぐって坂道を降りていくと携帯電話でお話中のスタッフと目が合った。「ちょっと待ちなさい」という風に右手を挙げて私を制す。まさか非公開なだけじゃなくて入待ちも禁止なわけ?
私を制したのはいいけれど電話がなかなか終わらなくて、男性スタッフは携帯片手に「行っていいよ」と練習グランドの方面を指差す。なんだ、問題ないのね?
トップチームの練習グランドへ行っても誰もいない。やはり9時スタートというのは嘘だった。信じなくて良かったわ。
しばらくすると先ほどの男性スタッフがやって来て英語で私に告げた。
「残念ですが今日の練習は非公開です」
「知っています。選手に挨拶だけしたいんですけど。練習が始まる前には帰ります」
「日本のジャーナリストですか?」
「いいえ、ただのファンです」
「わかりました。いいでしょう」
やった!追い返されるのかと思ってドキドキしちゃったよ。
「なぜレッジーナを応援してくれるんですか?ナカムラがいたから?」
心底不思議そうに尋ねる男性スタッフ。ミランやインテルやユヴェントスみたいなビッグクラブならいざ知らず、こんなプロヴィンチャの弱小クラブに外国人ファンがいることが信じられないらしい。まあ気持ちは分かる。
「昔ナカムラが所属していたから日本にはレッジーナファンがたくさんいるんですよ」
喜ばせてあげたくてついつい「たくさん」なんて言ってしまったら答えに窮する質問が返ってきた。

「どのくらい?何万人もいる?」

…いや、そんなにいないよ。100人いるかどうかだって怪しいもんだ。
「何万もはいないけど、でもたくさんいますよ」
困ったときのジャパニーズスマイルを浮かべながら、曖昧な表現で必死に取り繕う私であった。
「ガッリポリ戦のチケットは明日朝9時からここサンタガタで販売します。日本に帰る前にぜひ観戦していってください」
「もちろんです。ありがとうございます!」
チケット販促活動を済ませたスタッフは満足気にオフィスの方向に戻っていった。

               

最初にやってきたのはヴィオラだった。時計を見ると9時45分。こりゃ練習は10時半開始だな。
私をチラチラ見ながら「チャオ」とはにかむヴィオラ。か~わ~い~い~!!!
レッジーナのハニカミ王子が自分から挨拶してくれて朝からテンション急上昇だったのに、次に来た野郎が一気にテンションを下げてくれた。

「おまえ何でいつもいるんだ?」

私にストレートに問うてくるカチア。悪いか?ああん?
突然予想外のことを問われ、イタリア語が不自由なこともあって答えられずにまごついていると、「話しかけても無駄か」みたいなことを言いながらサッサと中に入っていった。
やっぱりコイツだけは絶対にかわいいと思えん。
コノヤローいつかイタリア語がベラベラになったら絶対にリベンジしてやる!←そんな日は来るのか?

               

本日のミッションの対象であるヴァルデスがカルモナら6人と連れ立ってやって来た。南米組だけじゃなくてランザーロやカッショーネといったイタリア勢も一緒だ。
ダメだ、こいつらの前で口で伝えるなんて絶対に無理!なんで大人数で来るのよ!しかもなんで先頭を切って歩いてくるのよ!一番後ろにいてくれたら、まだコッソリ伝えられたかもしれないのに…。
早々に口で伝えるのは諦めてメッセージを書いたメモを握りしめる。しかし、話しかけられないままヴァルデスが門の前に辿り着いてしまった。ああ、どうしよう!
「チャオ!」と私に挨拶して門の中に入ろうとするヴァルデスを慌てて呼び止めた。
「ヴァルデス!」
「うん?」と首を傾げながら立ち止まるヴァルデスにメモ用紙を差し出した。するとランザーロたちが「ヒューヒュー!」と一斉に冷やかす。やだもう顔から火が出そうだ。
皆が冷やかす中ヴァルデスはメモ用紙を受け取ると、私の短いメッセージに目を通した。

Mi dispiace molto per i Mondiali, ma lo so benissimo che tu sei un grande difensore!
ワールドカップのことはとても残念だったけど、でも、私は貴方が素晴らしいディフェンソーレだってことを知っているから!

ヴァルデスがメモ用紙に視線を落としていたのはせいぜい10秒だったけど、もの凄く長い時間に感じられた。どんなリアクションをするのか心配で心配で、息を止めて板前さんの表情を見つめていた。
フッと板前さんの口元が緩み、次いでメモ用紙から目を上げて「グラッチェ」と微笑む。この時のシーンは今日まで数え切れないくらい私の脳内でスローモーション再生されている。言葉で表せないくらい優しい笑顔だった。
「プレーゴ」
やっとのことで言葉を返した私に軽く挙手して門の中に入るヴァルデス。門をくぐった後で、もう一度じっくりとメモに目を通していた。
このとき誰かが私に話しかけたのだが、ヴァルデスのリアクションが気になってずっと目で追っていた私は一人別世界にいた。はっと我に返って声の主に目をやったときには、既にその選手は背中をショボンと丸めて門の内側に入った後だった。
ご、ごめんカルモナ!悪気はなかったの!
他の選手が私のメモを読みたがると板前さんは素直にメモを渡していた。読んだ選手は皆「ワーオ!」と声をあげる。ちょっと得意気な板前さん。これでガッリポリ戦張り切ってくれるかな?
喜んでもらえてよかった。思いきって伝えてよかった。板貫さん、Lukaさん本当にありがとう!

               

その後残りの第2集団が一斉にやって来た。先頭を歩いているブリエンツァが笑顔で挨拶してくれる。私服じゃなくてジャージを着ているので無事召集されたようだ。よかった。
168cmのブリエンツァの後を嫌がらせのように202cmマリーノが歩いているのに笑ってしまった。同じ生き物とは思えん。

選手全員が出勤し、すっかり仲良しになったDr.ファバスリにも挨拶が済んだので、スタッフとの約束どおり帰ることにした。自分に出来ることは一応全部やれたと思う。後は明日グラニッロで声援を送るだけ。清々しい達成感を胸にサンタガタを後にした。

南イタリア遠征記2010 | Comments(4) | Trackback(0)
Comment
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秘密のコメント様
こんばんは。
いつも感想ありがとうございます。

実は私もですね、板前さんはあのメモを今でも大事に持っているに違いないと思っています。←希望込み

> 自信が揺らぎそうになった時、不安になった時、日本人のレディが一生懸命に言葉をくれたことを思い出して、力を取り戻すでしょう。

コメントの一部を晒しちゃってごめんなさい。とても嬉しかったもので、つい。私の方が涙出そうです。(^^;)
本当にそうあってくれたらいいなと…。
板前さんとは信頼関係みたいなものを築けたのに、この先会う機会がなさそうなのが残念です。

そうか、「日本にレッジーナのファンがたくさんいる」ではなくて「日本でレッジーナの知名度は非常に高い」という表現をすれば問題なかったわけですね。確かにそうです。ファンかどうかは別にして知名度だけは高いです。マリアお婆ちゃんやフォーティ会長も(爆)
次回はそういう言い方するようにします。アドバイス感謝です!
よかったですね!
とてもすてきです。!
がんばりましたね!
reoさん、こんばんは。
メモじゃなくて直接言えたら一番よかったんですけどね。
どうしても伝えたい想いがあって、それを伝えるために四苦八苦して、言葉ってこうやって覚えていくんだなって実感しました。

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